―sexy my darling―



今日は仕事が終わってから久々にトレーニングルームにやってきた。

「…岩瀬…コレぐらいはいいだろう?」
「…ですが…」
「…あのな、俺だってたまには組み手がしたいんだ!!」
「だったら、俺が相手になりますよ!!」
「…イヤダ。」
「え!?」
「だって、お前は手を抜くだろう?俺を勝たせるために…」
「そんな事は!!」
「絶対にしないか?」
「……」
「…だからイヤダ。ちょうど西脇もいるし…」
「それは!!」
「…じゃあ、一体誰とだったらいいんだ!?」
「ですから、俺と…」
「却下。」
「は…石川さん!」
「お前と西脇以外で。」

石川の表情は『ここまで譲歩したんだ!さっさと決めろ。』と言わんばかりで…
岩瀬は一つ溜め息をついて… トレーニングルームを見渡す。
が、めぼしい人物はいなかった…

「岩瀬。早く決める!」
「…石川さん…」
急かされた岩瀬は真剣に石川を見て…
「絶対に手を抜きませんから、俺とやってください!」
「…絶対か?」
「はい。」
「これでもし、手を抜いたら…」
「抜いたら?」
「一ヶ月、俺のすることに口出し禁止。」
「…一ヶ月…ですか?」
「当たり前だろう!?約束を守らないんだから。」
「…はい。解りました…」
渋々と条件を飲んだ岩瀬だった…

そして―
トレーニングルームの一画で突如始まった隊長と補佐官の組み手。
こんな機会は滅多に見られないことからも自然とギャラリーが増えてくる。

石川の華麗な攻撃技に溜め息をつく者。
岩瀬の鋭い攻撃に興奮する者。
2人の白熱した戦いに魅せられる者。
次第にギャラリーの熱も上がってくる…
「そこです!隊長!!」
「岩瀬さん!危ない!!」
自然と2人への声援が上がってくる。
そんな中―
石川の綺麗な大外刈りで勝負がついた。
「わぁぁぁ!!」
「凄い!アノ岩瀬さんが投げられたよ!」
「流石、隊長!!」
周りからは石川への賛辞が上がる。

しかし、勝った石川は何故か憮然としや表情だ…
「…岩瀬…本当に手を抜かなかったのか?」
「石川さん…。俺は真剣でしたよ!」
息の上がった2人は暫く互いに探るように見つめる―
石川は一つ深呼吸をして
「解った。」
と笑う。
「しかし、お前…イロイロと仕掛けてくるな…。かわすのが精一杯だったよ…」
「石川さんこそ攻撃が多彩で…しかも早いです。」
お互いに感想などを言い合い… クスリと笑った。
「あー。疲れた!」
「ホントですね…」
「けど、たまにはいいな。また今度やろう。」
「望むところです!次は負けませんよ?」
「こっちこそ。次も勝つからな。」
そんな会話をしながら…
石川は汗をぬぐう。自分の着ている服での裾で。
その結果―自然とお腹が見えるわけで…

―ザワッ―

幸運にもその場面を見た者は…
赤くなったり(大多数)青くなったり(約一名)

「はる!…石川さん!?」
「何だ?」
当の石川は不思議そうに岩瀬を見る。
『ダメだ!分かっていない!!』
岩瀬は石川の肩をつかみ…
「石川さん!大事な用事を思い出しました!!早く帰りましょう!!」
と石川を急かしてダッシュで部屋へと連れ帰る。

後に残されたギャラリーたちは…
「今のって…」
「腹チラ…」
「腹チラ…だよな…?」
石川の行動に話題騒然となるのは必至で―
そんな中で西脇が溜息を一つ。
『岩瀬…ちゃんと教育しろ!』
と思ったとか…

訳も分からず岩瀬に連れられるままに部屋へと帰った石川は…
「何だよ!一体…」
「…いいですか?悠さん。これからはちゃんとタオルを使って下さい!!」
「…別にいいじゃないか…」
「いいえ。ダメです!」
「近くに無かったんだから…」
「お願いですから!二度としないで下さい!!」
岩瀬の妙な迫力に負けて、石川は思わず頷く…
そして岩瀬は盛大な溜息を一つついた…
『本当に分かったのかな…?』
この時の岩瀬の疑問は杞憂に終わらないのだが…


数日後―
トレーニングルームに顔を見せた石川の周りにはいつになく人が溢れていた…
その光景に岩瀬は眉間のしわを深める。
そして。
石川は数日前の岩瀬の忠告を忘れ、また汗を服で拭ったのだった…
「石川さん!!」
岩瀬がキレたのは言うまでもなく。

その夜、懇々と説教された石川は二度と服で汗を拭うことはなくなった。


いつの世も麗しい恋人を持つとイロイロな苦労が絶えない。とゆう話で―

                                FIN


========================================================================================

アトガキと言う名のいい訳。

…岩瀬は苦労してますね(笑)
そして無自覚な悠さんの『腹チラ』が書きたくてやってしまいました…
コレを見た隊員達は大変だったことでしょう(苦笑)
ご愁傷様です。

                                                06.01.30


MENU   STORY